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看護シンポジウム 「感情労働へのセルフケアとサポート」 

「感情は個人の生理や心理には還元されるものではなく、社会的な規範の影響も受けている」という感情社会学の考え方が日本に紹介されて20年余が経過します。 社会学者による「援助職は社会の要求に沿うための感情操作にエネルギーを費やす“感情労働”によって疲弊している」という説明には説得力がありました。 とりわけ、「援助者は被援助者に対する不快感の表出を避けるよう強いられて、ストレス状態に陥る」という解釈は、援助職にとって腑に落ちるところがあります。

ただし、そのような現状を容認した上で、援助職の大変さについての理解が社会的に共有され、感情労働が報われるようになりさえすればいいということではなさそうです。 例えば、披援助者のわがままな要求に援助者が言いなりになることが、本人のためにならないのは明らかなことです。 かといって、不当な要求への不快感をそのまま投げ返すべきだとも言えません。感情労働という概念が援助職に投げかけた提起には、かなり根深い問題が含まれているようです。

本シンポジウムでは、武井氏から「感情労働としてのケアとその代償」と題して、援助職が陥りやすい状況について話していただきます。菅野氏からは、現代人の心のケアという視点から、感情労働について論じていただきます。 宮本からは、自己のメンタルヘルスと質の高いケアを両立させる上で、「援助職に求められる感情活用」について提言します。最後に、現場の看護師からの話題提供を受け、シンポジストからコメントを致します。



シンポジスト: 司会・シンポジスト:

【略歴】
武井麻子
東京大学医学部保健学科卒業後、大学院に進学し精神衛生学を専攻。千葉県立衛生短期大学助教授を経て、現在に至る。主な著書に、『感情と看護』(医学書院)『ケースワーク・グループワーク』(共著、新泉社)『精神看護学ノート』(医学書院)など。

菅野泰蔵
学習院大学文学部(心理学)卒。同大学カウンセラーを経て、1996年東京カウンセリングセンターを設立。主な著書に、『こころの日曜日』(編著、法研)『カウンセリング解体新書』(日本評論社)『カウンセリング方法序説』(日本評論社)など。

宮本真巳
東京大学社会学科卒。大学院で精神衛生学専攻の後、松沢看護専門学校で看護士資格をとり松沢病院に勤務。東京都精神医学総合研究所、横浜市立大学看護短期大学部を経て現職。主な著書は、『感性を磨く技法1~4巻』(日本看護協会出版会)など。
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