日本の地域精神保健研究において精神疾患をもつ当事者や家族と支援者の双方が 重要と考える評価項目内容の合意形成に関する研究

1.はじめに

この説明文書は、本臨床研究に参加協力を検討される方に対して、研究代表者または研究分担者から研究の内容を説明するにあたり、ご理解を深めていただくために用意した補助資料です。研究内容について説明を受け、本文書の内容についてご理解をいただいた上で、研究に参加されるかどうかを決めてください。研究に参加していただくことは、あなたの自由意思で決めていただくようにお願い申し上げます。その結果、研究に参加しないということになりましても、それによってあなたが不利益を受けることは一切ないことを保証いたします。 また、この研究の成果が特許権などの知的財産権を将来的に生み出す可能性もありますが、その権利の帰属先は研究参加者であるあなたではないことをご理解ください。 研究の内容についてわからないこと、心配なことなど、お尋ねになりたいことなどがありましたら、遠慮なくご質問ください。

2.本研究の名称

研究課題名:「日本の地域精神保健研究において精神疾患をもつ当事者や家族と支援者の双方が重要と考える評価指標スタンダードセットの開発」
この研究は、東京都立大学大学院荒川キャンパス研究倫理委員会、国立精神・神経医療研究センターの倫理委員会及び理事長の承認を受けて実施しています。

3.本研究の目的及び意義

この研究では、精神疾患をもつ当事者の方々や当事者家族の方々、当事者に関わる支援者、行政関係者、研究者の方々を対象にインターネット調査をおこない、今後の日本の地域精神保健研究において当事者の方々や当事者に関わる関係者の方々が重要視すべきと考える評価指標を明らかにし、今後の支援や研究、臨床活動の評価枠組みを作成したいと考えております。
近年、日本では精神疾患をもちながらも地域で生活する方々が増えており、精神疾患の治療ゴールも、退院することや再入院の有無、症状の程度だけではなく、就労や一人暮らし、他者との関係性、あるいは当事者自身の内面的な自己実現など、「当事者一人ひとりが望む生活の為の支援や目標」という視点が重要になってきていますが、どんな支援を受けたいか、どんなことを大事に日々の生活を送っていきたいかということは人それぞれ異なるものです。しかし、これまでは医療者をはじめとする支援者や研究者によってケアや支援の目標やアウトカムが決められてきたという歴史もあり、本当に当事者の方々が求める将来に向けた目標設定が出来ていたとは言えませんでした。そのため、地域生活を送るうえで、実際にサービスを利用する当事者本人やご家族がどのような支援や治療のゴールを求めているのか、そして当事者に関わる支援者、行政関係者、研究者がどのような視点を大事にしているのかを理解することが大切になります。また、どのようなことを重要視すべきか、その評価指標の枠組みを開発することは、今後より良い支援を提供する為に必要な知見を集めて行くことに役立ち、将来的な地域精神保健ケアの発展に貢献するものと考えています。

4.本研究の対象となる方、実施方法及び参加いただく期間


1)本研究の対象となる方

この研究では、以下の条件をすべて満たす方に参加をお願いしています。
(1) インターネットを用いてのアンケート調査に自発的に回答できる方
(2) 日本在住の方

以上の条件をすべて満たす方で、かつ、次の(1)~(5)の立場のいずれかに当てはまる方に、ご参加をお願いいたします。

(1) 精神疾患当事者の方(下記のすべての条件を満たす方)
1.精神疾患の診断をお持ちの方(知的障害・認知症は除く)
2.精神障害により日常生活もしくは社会生活に制限を受けていると感じる方(例えば、症状による影響で外出や行動に制限がある、家事や仕事に影響を受けている、体調や気分がすぐれず援助が必要な時があるなど。その他の例としては、精神障害者保健福祉手帳3級程度、もしくはそれ以上に該当する方など。)
3.地域精神保健医療福祉サービスを現在利用している、または過去に利用したことがある方(例えば、デイケア、訪問看護、外来OTなどの地域精神科サービス、総合支援法下の福祉サービス、市町村独自の保健福祉サービスなど。外来診察利用のみの方は除く。)

(2) 当事者家族の方
1.上記の【精神疾患当事者の方】の条件を満たす方を主にケアするご家族(親、兄弟・姉妹、子ども、配偶者など)、あるいはそれに相当する方

(3) 支援専門職の方(下記のすべての条件を満たす方)
1.地域精神保健医療福祉サービスを提供する国家資格を有している方(医師・看護師・保健師・精神保健福祉士・社会福祉士・作業療法士・理学療法士・公認心理師など。例外として臨床心理士を含む)
2.地域精神保健医療福祉サービスを提供する業務に携わったことがある方(デイケア、訪問看護、外来OTなどの地域精神科サービス、総合支援法下の福祉サービス、市町村独自の保健福祉サービスなど)
※保健所などで、精神保健福祉分野の事業にかかる企画調整または普及啓発に携わっている方は、行政職員として参加してください

(4) 行政職員の方(下記のすべての条件を満たす方)
1.行政機関で働いている方
2.地域精神保健医療福祉サービスに関連する業務に携わっている方(精神保健福祉分野の事業にかかる企画調整または普及啓発)

(5) 研究者の方
1.地域精神保健分野に関わる研究に携わった経験がある方

また、以下の条件のうち1つでも当てはまるものがある方は、研究に参加いただくことができません。
(1) 20歳以下の方
(2) 入院中の方
(3) 成年後見制度を利用している方
(4) その他、研究代表者が不適当と判断した方
※ご参加希望の方が50名を大きく超えた場合、ご協力いただけない可能性がございます。

これらの他にも、研究代表者が、あなたに参加いただくことができるかどうかを調査の経過の中から判断します。場合によっては同意いただいた後でも研究に参加いただけないことがあります。また、研究への参加をいただいている途中でも、あなたにとってこの研究に参加することが難しいと研究代表者が判断した場合、研究参加を中止させていただくこともありますので、あらかじめご了承ください。

2)研究期間、スケジュール

2021年8月~2021年10月(仮)

3)実施する調査について

この研究は精神疾患をもつ当事者、当事者家族、当事者に関わる支援者、行政関係者、研究者を対象として、上記の期間に計3回インターネット調査を行います。参加者の皆さまには、事前に国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部ホームページ(https://www.ncnp.go.jp/nimh/chiiki/)内に設置いたします調査専用ページより、調査への参加登録を行っていただきます。調査開始時には、専用のURLよりサイトにアクセスいただき、年齢、性別、学歴、病歴といった基本属性に関するデータに加え、地域精神保健研究において重要視すべき評価指標に関して、各項目に7段階評価でお答えいただきます。また、各項目についての自由意見、提案等も回答いただきます。各調査の回答期間は2週間程度を予定しております。回答結果は研究代表者が集計、およびコメントの要約を行い、誰の回答かわからない状態で参加者の皆様に結果をお示しいたします。参加者の皆さまは、アンケート調査の結果を見たうえで、改めて各評価指標が地域精神保健研究においてどのくらい重要だと思うか、アンケートにご回答いただきます。このようなプロセスを合計3回行い、最終的に「日本の地域精神保健研究において重要視すべき評価指標スタンダードセット」を開発いたします。

【調査で回答いただく内容とご確認いただきたいこと】
調査1回目は、全96項目にご回答いただく為、回答に30~90分程度(人によってはそれ以上お時間を要する場合もございます)かかることが予想されますが、一度に全ての回答を完了しなくても済むよう、各回答期間中は途中保存が可能となっております(提出後の変更はできません)。2回目・3回目調査では、前回までの調査で参加者全体からの合意が得られなかった項目を再度評価していただくことになりますので、ご回答いただく項目数は調査ごとに変動する可能性があります。また、参加者の方々の脱落の有無や回答の変遷を確認する為に、各調査での回答は参加される方それぞれのIDと紐づけして管理いたしますが、個人の結果の変遷が公開されることはなく、また個人が特定されることもございません。
この調査では、参加者の方にはできる限り3回すべての質問への回答をお願いしたく思います。皆様にご協力いただき回収した大切なデータを無駄なく使用し、精度の高い調査を行ううえで大変重要なこととなります。ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

5.研究参加により生じるかもしれない負担、リスク、利益について

1)生じるかもしれない負担、リスク
(1)有害事象
この研究では、有害事象が生じることはないと考えられます。
(2)その他の負担、不利益
この研究はあなたご自身に質問にお答えいただき、それにより得られたデータを分析するもので、研究に参加することによるあなたへの直接の不利益は少ないと考えられますが、調査の回答に伴う時間的負担が予想されます。

2)予想される利益
本研究への参加によって、あなたに直接の利益は生じませんが、研究成果により将来的に精神科領域における支援や研究の質の向上に貢献できる可能性があります。

3)研究を中止する場合
(1)研究参加者から調査参加途中に辞退の申し出があった場合
(2)研究参加者が研究参加を継続することの心身の負担が過大であると、研究代表者が判断した場合
(3)研究参加者が当初設定した選定方針の除外基準に該当するようになった場合
(4)その他の理由により、研究代表者が研究の中止が適当と判断した場合

6.研究参加に伴う経済的負担について

この研究に参加することに対する経済的負担(参加料)などはありません。この研究に参加していただいた場合、参加のために要する負担を軽減する目的で、毎回ご回答いただくごとにギフトカード500円分をお渡しします(3回参加で最大1500円)。本ギフトカードは、参加者の皆様に登録いただいたメールアドレスもしくは住所宛に送付いたします。
※ギフトカードは全調査期間終了後、回答回数に合わせてお送りさせていただきます。

7.研究参加後の同意撤回について

この研究への参加・継続は、あなたの自由な意思で決めてください。この研究に参加いただける場合、同意書への署名をお願いいたします。あなたが、この研究への参加を断られた場合でも、何も不利益を受けることはありません。また、一旦は研究参加に同意をされ、研究が開始された場合であっても参加を止めることができ、その場合にも何も不利益を受けることはありません。ただし、各回答期間締め切り後のデータは他の参加者と統合され、どなたの回答であるか判別ができない為、回答締め切り日を過ぎた場合、次回調査への参加は撤回いただけますが、当該調査回までのデータの撤回は出来ませんのでご了承ください。同意撤回される場合は、各回答期間の締め切り日前に同意撤回の意思を研究代表者までご連絡ください。同意撤回書を登録メールアドレスに郵送いたします。

8.個人情報等の取扱いについて

アンケート調査の結果、お寄せ頂いたご意見やデータは、個人を特定できない形式にして管理されますので、みなさんの個人情報が外部に漏れることはありません。個人情報は東京都立大学大学院人間健康科学研究科/国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部、塩澤拓亮が責任をもって管理します。

9.試料・情報の保管及び廃棄の方法、二次利用について

本研究で収集した全情報は、個人情報管理者および保管管理責任者を研究代表者に定め、責任をもって管理します。個人情報を含むものに関しては、漏洩することのないよう、取り扱いに関して細心の注意を払います。また、調査票やその情報を記録した電子媒体は機密が保持されるよう、研究所内の鍵のついた保管庫で管理するなど十分に留意いたします。なお紙・電子媒体については、研究期間後5年をもって破棄します。本研究で収集したデータの最終帰属先は国立精神・神経医療研究センターといたします。本研究で取得したデータは、将来、精神保健領域の研究が扱うべき事柄についての調査に使われる可能性があります。なお、取得したデータは量的にまとめられるものであるため、どの内容が自分の回答によって作成されたか等個人の判別は不可能な結果として提示されます。よって、データの二次利用については当部ホームページ上(https://www.ncnp.go.jp/nimh/chiiki/)にてその旨をお知らせいたします。

10.研究の資金源や研究者等の研究に関する利益相反について

「利益相反」とは、外部との経済的な利益関係などによって、研究データの改ざん、特定企業の優遇、研究を中止すべきであるのに継続することなど、研究が公正かつ適切に行われていないと第三者から懸念されかねない事態のことです。
この研究は、公的な資金(精神・神経疾患研究開発費「重症精神障害者とその家族の効果的な地域生活支援体制に関する基盤的研究」(研究代表者:藤井千代、研究分担者:山口創生、期間:2019年4月1日~2022年3月31日)により行われており、特定の企業からの資金の提供は受けておりません。また、この研究に係る全ての研究者およびその配偶者などの家族は、特定の企業との経済的利害関係、雇用関係は一切ありません。従いまして研究者が企業から独立して計画して実施するもので、研究結果や解析等に特定の企業が影響を及ぼすことはありません。なお、この研究における当センター研究者の利益相反については、当センター利益相反マネジメント委員会で審査され、適切に管理されています。

11.研究に関する情報公開について

この研究による成果は学会発表や論文など学術的な場のみで発表いたします。また、この研究の一部は研究代表者である塩澤拓亮が東京都立大学大学院人間健康科学研究科人間健康科学専攻看護科学域博士学位論文として発表する予定です。公表時においては、全て個人情報を匿名化した上でまとめられますので、みなさまの個人情報が公表されることはありません。

12.研究計画書と研究の方法に関する資料を入手又は閲覧したい場合

研究に参加している他の方の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲で、研究計画書及び研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。ご希望の場合には、「15.本研究に関してご相談等の問い合わせ先」にご連絡ください。

13.この研究を審査した倫理委員会について

倫理委員会(以下、委員会)は、研究機関の長から研究の実施の適否等について、意見を求められたときは、倫理的観点及び科学的観点から、研究機関及び研究者等の利益相反に関する情報も含めて中立的かつ公正に審査を行います。この研究に係る委員会の手順書、委員名簿、審議内容等についてお問い合わせがある場合には下記URLに掲載されております。
《倫理委員会》
名称:東京都立大学大学院荒川キャンパス研究倫理委員会
所在地:〒116-8551 東京都荒川区東尾久7-2-10
資料閲覧について以下のURLに掲載しています。
[URL]: https://www.hs.tmu.ac.jp/others/1796.html
名称:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 倫理委員会
設置者:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 理事長
所在地:東京都小平市小川東町4-1-1
資料閲覧について以下のURLに掲載しています。
[URL]: https://www.ncnp.go.jp/hospital/partnership/ethics/

14.本研究の実施体制、研究機関の名称及び研究代表者の氏名

研究機関の名称:東京都立大学大学院 人間健康科学研究科
研究責任者の氏名:塩澤拓亮

本研究は以下の施設と共同して実施されます。
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部
所在地:〒187-8551東京都小平市小川東町4-1-1

15.お問い合わせ先

あなたがこの研究について知りたいことや、心配なことがある場合は、ご遠慮なくこの説明文書の末尾の問い合わせ窓口にご相談ください。なお、他の研究参加者の個人情報や研究者の知的財産権の保護などの理由により、対応・回答ができない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
本研究について疑問や質問が生じた場合には、下記までお問い合わせください。

○本研究に関する問い合わせ窓口
〒187-8553
東京都小平市小川東町四丁目1番1号
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部
連絡先:【電話番号】 042-341-2711 (内線:6284)
【メールアドレス】together.ncnp@gmail.com

〒116-8551
東京都荒川区東尾久7-2-10 東京都立大学荒川キャンパス
東京都立大学大学院 人間健康科学研究科
氏名 塩澤拓亮